「ハッカソン」初日。
個性豊かな8チームが開発に没頭!

写真: 中島正男/文: 北條貴文(集英社メンズノンノ編集部)

アンダーズ 東京で催された「プレ・パーティ&アイデアソン」の翌日、ついに「ザ・ファッション・ハック 東京 2015」がスタート。

2日間かけて行なわれる「ハッカソン」の会場は、港区六本木にあるGoogle東京本社だ。

入り口には、ソーシャルメディアを利用したデジタルサイネージ「SNS board」(協力:ラステック、サインアーテック)が鎮座。本イベントの開催告知キャンペーンとして、集英社のメンズファッション誌「メンズノンノ」公式ツイッターで募集した同誌専属モデルの「 #坂口健太郎に質問 」と、「THE FASHION HACK TOKYO」の頭文字「 #TFHJP 」のハッシュタグに紐付いたツイートが続々と映されていた。

そして会場に入ると、ハースト婦人画報社、講談社、集英社、小学館のファッション誌28誌が仲良く並べられたポップ、そして、「ハッカソン」開催中は飲み放題となるサントリー「集中リゲイン」がお出迎え。

620名の応募者から当選した47名の参加者も次々と着席し、出版(デジタル)関係者の期待が高まるなか、「ザ・ファッション・ハック 東京 2015」開始時刻となった。

はじめに、岩瀬朗・集英社雑誌デジタル編集室部長代理が主催者挨拶と趣旨説明。

「昨日のプレ・パーティで開催された『アイデアソン』では、『ファッションボンクラ』『ダサい人のビッグデータ』など、我々出版社の人間が想像もつかないような新しいコトバやキーワードがどんどん飛び出して驚きました。先入観のない意見やアイデアを外部の人たちから取り入れて、それを起爆剤として、ファッションとテクノロジーの分野がより一層発展することを希望したいと思います。」

つづいて、ファッション×テクノロジーのソフトウエアのデモ開発にあたって、参加者チームをサポートしていただく企業からのAPI説明と挨拶。

(左から)岡村純一・ペイパル(株)インテグレーション マネージャー、沼博人・(株)ルーラー代表、清水美奈・シーセンス(株)セールスエンジニア、鈴木拓生・Google(株)Developer Relations Regional Lead, Japan が、「ハッカソン」各チームのバックアップとサポートにあたる。

参加者47名による白熱の「アイデアソン」。

昨夜の経験から勝手がわかっているようで、簡単な自己紹介・ブレインストーミング・アイデアメモ・アイデア出しまでスムーズに流れていく。

そして、昨夜に引き続き矢吹博和さんを進行モデレーターに、満を持して発表したであろうハイレベルなアイデアがこの日も結集したのだった。

昨夜のプレ・パーティでのアイデアを活用することも可能であったが、参加者は皆、今日の本番当日まで胸に秘めていた渾身のアイデアをぶつけ合っていたようだ。

そして、チーム結成へ。

アイデアスケッチへのいいね! 数の多い順に作成者が呼ばれ、簡単なプレゼンテーションを経て、作成者がチームメンバーを募っていく。

だが、ここで問題発生。

いいね! の数は規定に達しなかったが、「ぜひ実現させたい」アイデアの立候補を募ってみると、なんと挙手多数で想定チーム数を大幅に上回ってしまったのだ。

「この熱意は、日本の『アイデアソン』や『ハッカソン』ではなかなか見受けられない嬉しい誤算です(笑)。参加者の意識の高さが伺えます。」と、進行の矢吹さん。

そこで、個々のアイデアをボードに貼り出し、加わりたい企画の前に整列してもらうことに。

デザイナーとプランナーがいても、エンジニアがいなければプロトタイプの制作は不可能。チームバランスが考慮されつつ、4人から8人からなる合計8チームが即席で組織された。

さあ、この8チームで、いよいよITバトル「ハッカソン」が始まる!

……その前に、腹が減っては戦はできぬ故、ランチミ-ティング。

午後の部は、さっそくリーダーのもとで企画詰め。

各チームにはディスカッション用のホワイトボードが配られ、アイデアを結晶させるための優先事項や特記事項は付箋で管理。プランナー、デザイナー、エンジニア、それぞれがプロフェッショナルな役割を果たしていく。

8チーム対抗戦の本当の勝負、「ハッカソン」本番がようやく始まったと言えるだろう。

翌日の2日目に行なわれる審査発表会までに残された時間は、「短すぎる!」、「長すぎる!」、双方のボヤキを耳にした、およそ26時間だ。

チーム分けが終わるやいなや、すぐにソフトの部品を組み立てていたチームも。


文型・理系バラバラ、肩書きバラバラ、人数・男女比もバラバラな、おそらく「ハッカソン」がなければ出会わなかったかもしれない個性豊かな8チームを紹介。

以下、チーム名、アイデア、メンバーの順。

■チームA(チーム名:A):「女性誌 for MEN」
(左から)上森久之さん、宮武俊介さん、小副川陽子さん、高木良子さん、安炳祚さん、ジェームズ・ハミルトンさん。

ベンチャーコンサルに広告屋が2人という、実行力に長けるであろうクリエイティブが持ち味。「仕事では慣れていたはずなのに、ハッカソンは別物。初対面の人たちとアイデアをかたちにすることの苦労と達成感、両方を味わっています。」と、宮武俊介さん。

■チームB(チーム名:DAN):「magazine PICK」
(後列左から)諸町実希さん、井内麻結さん、飯田綾音さん。(前列左から)桑田純哉さん、高山紘侑さん、金田卓士さん、岩﨑弾さん。

電子書籍をバラバラにして、自分だけのスクラップマガジンを作るという、8チームのなかで最もストレートなアプリを開発中。市場に出回る同系統のアプリを踏まえ、オリジナリティを加えることができるか。「出会いに感謝しています。」とリーダーの弾(DAN)さん。

■チームC(チーム名:Spoilers):「Peek!」
(後列左から)松尾茜さん、岸本佐和子さん、桜井ひかりさん、今村明日香さん、鎌倉由佳さん、吉田沢佳さん。(前列)坂本昌陽さん。

坂本昌陽さんは前夜祭の「アイデアソン」表彰者。エンジニアは彼だけなので少し離れて作業していた。「ファッション誌が大好き。雑誌ではできない体験を媒体のウェブで展開できたら、ウェブと一緒に雑誌も売れると思います!」と、吉田沢佳さんは雑誌愛を語った。

■チームD(チーム名:押忍!):「OTOKOGI FASHION」
(左から)井上郁麿さん、髙濱健太さん、中川裕也さん、玉仙拓也さん。

フェイスブック認証でログインし、「指令」の名のもとに提案されるコーディネイトから好みを選んでシェアすると……「冷やかしも同情も関係なく、いいね!数が『otokogi』バロメーターとして計測されます。男が変わるには強制力が必要。」と、玉仙拓也さん。

■チームE(チーム名:アッシュ):「MF」
(左から)酒井聡さん、磯見梨沙さん、會田昌史さん、千々和孝秀さん。

「気付いたらロックが好きで、気付いたらロックなファッションしてました。でもロックはメジャーじゃないので、扱うファッション誌でも数カットしか掲載されていないんです。」と、磯見梨沙さんは嘆く。マイノリティを自覚する彼女を救うべく男3人が集まった。

■チームF(チーム名:M&Ms):「ダレフウ?」
(左から)木村優里さん、安藤真衣子さん、杉本みゆきさん、渡辺麻翔さん。

前夜祭の「アイデアソン」で表彰され、「そもそもファッションボンクラのボンクラ行動履歴からは、ボンクラ服しかレコメンドされません!」の名言を残した安藤真衣子・エンジニアを中心とした4人組。自分ではない、自分に近い、誰かに憑依できたら……!?

■チームG(チーム名:クローゼット):「tomosu Hanger」
(後列左から)、八木彩香さん、上野麻紀子さん、丹下友希さん。(前列左から)上原貴之さん、濱田浩嗣さん、辻田幸廣さん、岩本拓也さん。

アイデアソンで電通マンの八木彩香さんが提案した企画は、「光るハンガー」と「買い物ルート最適化」。どちらもリアルなユーザー体験に根ざしているが、前者を選択。「ハンガーを今日中にゲットできました。安心して明日を迎えられます(笑)。」と、上原貴之さん。

■チームH(チーム名:arakaki):「mood」
(後列左から)大藤直子さん、新嘉喜りんさん、宗若奈さん、後藤紗也佳さん。(前列左から)梶谷健人さん、岩片悠真さん、小林佑樹さん、嵩本康志さん。

「女性は1日の体調を「ルナルナ」で知り、毎日の予定を「グーグルカレンダー」で知る。もし2つが連動できたら……」と、リーダーの新嘉喜りんさん。よりインディヴィジュアルな、その日の気分(mood)にピッタリのスタイル提案型アプリが生まれるかも?

初日のラストミッションは、翌日の審査発表会でのプレゼン順番決め。デジタルの世界だが、人間だもの、8チームの最初と最後ではやっぱりやりづらかったりもするのだろう。

スクリーンに注目。「ハッカソン」実行委員会によるスペシャルなランダム変則コードによって、一瞬にして決定した。A・D・G・E・H・F・C・B チームの順だ。

時刻は22時すぎ。

まだまだ明日の昼まで(きっと夜通しで)開発はつづくのだった。

▽▽▽2日目の審査発表会、そして優勝チーム決定!▽▽▽